50代女性。左胸〜左腕にかけての鈍痛、喉のつかえに対する鍼灸施術
こんにちは。
市川市、あかつき堂鍼灸院院長の清水です。
今回はタイトルにあるように胸や腕にかけての鈍痛、そして喉のつかえに対する鍼灸施術が改善した一例をお伝えします。
50代女性の例です。
よくよく体を触診してみると鎖骨周辺や両首がよく張っていました。
なるほど、これらの反応は辛い症状を引き起こす要因になり得るものです。
しかし、ここまでは触診しないまでも十分に予想できる範囲内でした。
きっと同じような症状をお持ちの方も
今回のケースに当てはまる方が多いのではないかと考えられます。
さて、それともう一つ大事な反応。
それは、背中全体ち適度な弾力が見られないということでした。
虚実(虚実)という考え方
これはある程度熟練していないと分からない体の反応です。
- 虚、、、うつろであって力がない状態。冷え。
- 実、、、のぼせ、凝り、上昇性がある。
なんのことやら?って感じですよね。
でもこれが鍼灸をする上でとても大事なのです。
例えて言うなら、適度に空気が入った風船がちょうど良い状態だとすると、それより空気を入れすぎればパンパンに張りますが(実)、なければふにゃふにゃとしていて張りがない(虚)いうことに似ています。
別の例で言うと筋トレのパンプアップ。
一時的に負荷の大きい筋トレをすると筋トレした周囲に水分が集まりパンと張ること(実)に似ています。
どちらも例え話なのであくまでイメージではありますが、体でも似たことが起こっている、そんな風に捉えてみてください。
今回の症例のように慢性的に凝っている日の状態とフニャフニャしていて力がない状態が混在している、これでは確かに体の不調を引き起こしてしまいますよね。
ではどうするか?
すべては血流に関連する
と考える前になぜそのような体の状態になってしまうのかを考えてみます。
結論を先に言ってしまえば
それは冷えによる血流の滞りということになります。
だから、適度な運動(ラジオ体操程度)や適切な睡眠時間の確保、バランスの良い食生活が大事だということになります。
いつもあたり前の結論になってしまうのますが、
それでも不調が引き起こされてしまうのはきっと理想と現実が離れ離れになってなかなか一致した生活がしにくいということではないでしょうか?
例えば
- 仕事で夜勤や日勤があるので理想的な睡眠時間の確保が難しい
- 人間関係のストレス
- 運動する時間がない
- 誰でも起こり得るこう言った体への負担。
鍼灸ではこれをなんとかしなくてはならないわけです。
鍼は硬くなってしまった皮膚や筋緊張を緩める
鍼刺激が体に入るとその刺激は皮膚→脊髄神経→脳へと入力される道筋がありますが、脳を介さず皮膚自体が反射として鍼をした周辺が赤くなる発赤という現象が起きます。
別名フレア現象ともいい自律神経が関連したとても重要な反応です。
つまりは血管がふわっと拡張した状態ですから体は緩む方向に働きます。
たとえばそれが凝っている場所が柔らかくなったり力がない虚の状態を賦活させたりできます。
ここで大事なのは痛い鍼をしてしまうと、体は逆に冷えて硬くなっていく反応を示してしまいます。だから心地のいい鍼の刺激、これが大事。
ではお灸の役割は何か?
灸は凝り固まって動きにくい凝りに直接熱を透す。
お灸では鍼では柔らかくしにくい慢性化した凝りに対して行うことが多いです。
今回の腕から胸の鈍痛、喉のつかえはそれぞれ別の症状が別々に起こっていると捉えず、その症状自体が「実」としての性質が強い、その割に背中の状態が虚として力が弱い、ととらえます。
それらの状態が実でも虚でもないちょうど良くバランスがとれた状態(中庸)を作ることができたので今回の症状はうまく解消できたと考えられます。
どのような症状でも、体に実や虚として反応があるものです。
それらを適切に触診することによって把握し鍼灸によって解消していく。
それは鍼灸ならではの見立てですし、鍼灸だからこその得意分野なのでは?と私は考えています。
痛い鍼でもなく、熱すぎるお灸でもなく、体が治ろうとするちょうど良い心地の良い刺激によってあなたを改善にスムーズに導くことが目標です。