80代男性肩の痛みに関したの改善と反省点

ゴルフ旅行には間に合った。けれど「戻ってしまった痛み」をどう考えるか

80代の男性。

肩の痛みでゴルフができなくなり、来院されました。

ちょうど海外でのゴルフ旅行を控えておられ、どうにか間に合わせたいというご希望。

3回まで施術で痛みはかなり軽減。整形外科でも「問題ないでしょう」との許可を得て、旅立たれました。

ところが現地での「一打目」で、また肩に痛みが走り、旅行は無事終えられたものの、帰国後は振り出しに戻ったような状態になってしまったそうです。

改めてお身体を診ると、腹部や背部の冷えが強く、以前と同じような「虚」の状態(凝りの一種)が、また顔を出しているのが印象的でした。

「治った」という感覚と「負荷に耐える身体」

一度は「これなら大丈夫」と思えるほど改善した身体が、一発で「また戻ってしまう」。こうした現象は、私たち施術者にとってもやはり考えさせられます。

今回、施術では痛みの消失という目に見える改善が得られた。

けれど、「痛みがない」=「耐えられる」ではない

日常動作には問題なくても、ゴルフのような特殊な運動負荷に対しては身体の準備がまだ整いきっていなかったのかもしれません。

とくに印象的だったのは、腹部や背部の冷えが再発していたこと。

これは、見た目の症状が消えても、根本的な虚や体力の底がまだ回復しきっていなかったことを示しているように思えました。

急ぎすぎたかもしれない

正直に言えば、「旅行に間に合わせたい」という強い希望を受けて、私自身、短期的な調整に主眼を置きすぎたところがありました。

「一打目で痛みが戻る可能性」についてもう少し具体的に伝えるべきだったと今強く思います。

また、整形外科でOKが出たことで、どこか「大丈夫だろう」という気持ちに引っ張られてしまったのも事実です。

身体の全体像を診る立場として、表面的な改善ではなく負荷に耐えられる底力の確認をもっと重視すべきだった。

それが今回、最も大きな反省点です。

段階的な「戻り」の設計

今後はまず日常生活に不便がないこと

再発しにくい身体の土台をつくるこを第一目標にする。

その後

  • 痛みの出ない範囲での素振り
  • 軽いトレーニングやスイングのシミュレーション

などを組み込みながら、段階的に「ゴルフに戻る身体」を設計していく必要があると感じています。

最後に:戻ったようで、まったく同じではない

「振り出しに戻った」と患者さんはおっしゃっていました。

けれど、私はそうは思いません。

身体の反応の仕方も、施術の効き方も、一度経験を経た今回のほうが、確実に深まっています。

悔しさもありますが、それと同じくらい、次に生かせるヒントもありました。

私自身の姿勢も含め、こうした経験から学び続けたいと思います。