鍼灸の今昔物語
あかつき堂鍼灸院院長の清水です。
暑い時期ですが、暦の上では立秋をむかえました。
季節の変わり目は体調を崩すことが多いですから鍼灸で体をケアすることをおすすめします。
ところで鍼灸といえば、みなさんは「昔の鍼灸の事情」と「現在の鍼灸の事情」が違うことをご存じですか?
戦国大名が鍼灸を受けていた。
例えば戦国時代、鍼灸師は庶民の肩や首、腰等に鍼や灸をして痛みを和らげたり鍼や灸で症状を緩和していました。
信じられないかも知れませんが、名のある鍼灸師は大名に呼ばれ、鍼灸を施していたそうです。
今で言うなら病院に行くか、医師が訪問診療する感覚で鍼灸は行われていたイメージでしょうか。
そしてそれは長く続き明治の世でも鍼灸は広く行われていました。
しかし、鍼灸が最大のピンチをむかえます。
GHQの介入で伝統医学の危機
1941年日本はアメリカ、イギリスと戦争状態に入りました。そして1945年に日本は敗戦します。
この時、アメリカ(連合国最高司令官総司令(GHQ)は、日本のあらゆる制度を変えていったのです。
そうした背景があって1947年、鍼灸とあんまを禁止すべきではないかという話があがりました。
鍼灸と按摩を禁止にしようとする側の言い分は
- ①教育制度が不十分
- ②治療効果に根拠がない
というものでした。
西洋の人からすると摩訶不思議な行為に見えたのかもしれません。
しかし、それに対する反対運動が起き結果、教育を受け免許がある人なら鍼灸や按摩を行っていいということになったのです。
今日では専門学校を卒業し、国家資格に受かれば鍼灸師(はり師・きゅう師)やあんま指圧マッサージ師になることができます。
もちろん僕もちゃんと学校を卒業し、国家資格をとって鍼灸を行っています。
昔は鍼灸やるのに資格はいらなかったですが、今は必要になったということですね。
今では逆に海外、とくに欧米で鍼灸が広まってきているそうです。
有名な新聞であるニューヨークタイムスに鍼灸が掲載されたことで、欧米でも鍼灸が行われるようになったそうです。
バトルフィールドアキュパンクチャー
米国ではバトルフィールドアキュパンクチャーと呼ばれる耳に針をして疼痛管理の痛みを和らげる施術法が実践されています。
参考文献:Richard C. Niemtzow. Battlefield Acupuncture. Medical Acupuncture. 2007;19(4):225-8
http://online.liebertpub.com/doi/pdf/10.1089/acu.2007.0603 (2016-11-29)
WHO(世界保健機関)も鍼灸に一定の信頼を置いています。
鍼灸師として一言
鍼灸の歴史はそれなりに長いため、決してなだらかではなく紆余曲折しています。
いっときはその火が消えかかることもありましたが、今日まで続いているのは鍼灸には効果があったからでしょう。
最近では美容鍼といい、健康だけでなく顔を若々しく保とうというムーブメントさえ起こっています。それはいっときのブームでは収まらず、すでに市民権を得たと言っていいでしょう。
このように時代が変われど、鍼灸の価値はより高まっていると感じます。
あかつき堂鍼灸院をご利用される方たちから、鍼灸で調子が良くなったと言ってもらえます。そういう声を聴くととても嬉しいものです。
もし鍼灸にご興味をお持ちになった方はお近くの鍼灸院に行ってみてくださいね。
きっと鍼灸っていいものだなと思っていただけると確信しています。
参考文献:鍼灸の歴史-悠久の東洋医術初版第1刷 2015年1月30日著者 木曽戸洋・天川陽介発行者 株式会社 大修館書店262頁〜269頁