黄金の90分間を見逃すな!睡眠は長さより質が命。

- update更新日 : 2024年03月19日
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  こんにちは!市川市、中山法華経寺すぐそばの、あかつき堂鍼灸院院長の清水です。

今年(2024年)の大河ドラマは紫式部の「光る君へ」です。

この平安時代に書かれた「病草子(やまいのそうし)」(作者不明)という書がありますがそこには不眠症の女性が登場するそうです。

現代日本人の平均睡眠は6.5時間と 世界でワースト1位、もともと日本人はあまり寝ない民族なのかもしれません。

というわけで、今回はスタンフォード大学医学部教授、西野精治著「最高の睡眠」を参考に睡眠について書いていきます。

そもそも寝ない生き物はいるのか?

クジラ類、鳥類の場合 

 千葉県鴨川シーワールドにシャチやイルカ(クジラ類)がいます。

かれらは「半球睡眠」という特殊な睡眠スタイルをとります。

左脳右脳を片方ずつかわりばんこで睡眠するというもの。

水生生物や鳥類に多くみられる特徴です。

でもこれは厳密には寝ないとはいえませんね。

ペンギンの場合


たとえばヒゲペンギンのオスは自分の子供が卵から孵るまでの間卵を温め
るとき、1回の睡眠を4秒、1日1万回寝る(計11時間)というスタイルを取るそう。

これはマイクロスリープと呼ばれる短時間睡眠です。

脳がないクラゲは?

 なんと寝るそうです。

色々探してみましたが、どんなに短くとも特殊な睡眠スタイルであっても寝ない動物はいないみたいです。

では人はどうでしょう?

 人間の不眠世界記録は11日

通常の状態ではヒトはもちろん毎日眠りますが、1964年アメリカの男子高校生が11日と12分(264時間12分)全くの不眠で過ごしたというギネス記録があります。

 先ほど日本人の平均睡眠時間は6.5時間と書きましたが、人によっては意外と長いと思う方がいるかも知れません。

当院でも患者さんに睡眠時間をよく伺いますが、6時間以上寝ている人は半数もいないのではないかという印象です。

世界で見ると睡眠時間一位の国はフランスの8.9時間、2位はアメリカは7.5時間。

ちなみに睡眠時間はどの年代に関わらず7時間から7.5時間取れると良いそうです。

睡眠はなぜ大事か。 

 睡眠は免疫力に関連するからです。

例えていうなら免疫力はウイルスに対しての最大の盾。ですから眠れていないということはその盾がないということ。

これでは危ないですよね。

睡眠負債 

 睡眠不足はただの不足ではなく、負債だと表現されることがあります。

つまりちょっとの寝不足なら問題ありませんが、1ヶ月、半年一年、数年、数十年つづくと負債(借金)がかさみ負の複利が働き雪だるま式になり肥満、糖尿病、高血圧、認知症など具体的な病を引き起こしてしまうリスクが高くなっていく。

短時間睡眠は寿命が短くなるというデータもあり、短時間睡眠のリスクは非常に高いということがわかるでしょう。複利は負ではなく正で利用したいものです。

しかし、ただ長く眠ればいいわけでもなく、睡眠の質が大事なことがわかってきました。

どのように寝るか?

入眠開始90分の睡眠の質が命

 レム睡眠(脳が起きていて体が眠っている睡眠)とレノンレム睡眠(レムでない睡眠)の周期の第一周期が眠りが最も深い眠りであり、最も質が高い睡眠です。

つまり最初(寝入り)が大事。

睡眠によって脳を満たす脳脊髄液の代謝が進みその老廃物が排出されるのも主に睡眠時なのだそうです。

記憶もまた、第一周期のノンレム睡眠時に脳に刻み込まれます。

体温と脳

 体温は上げて下げて縮める。

 眠気は体の中の体温と皮膚温度の差が縮まると眠気が来ます。

  1. 寝る90分前にお風呂(15分)に入り皮膚(体の表面体温)だけでなく深部体温(体の内側)を上げる
  2. 上がった状態から下がるのに90分かかる
  3. その下がる時に手足から熱を放散し体の熱を出す→深部体温と表皮の体温の差が縮まる
  4. 眠気がくる
  5. 眠る。

 眠くなると手足が火照る感じがするのは深部体温を放熱しているからだったんですね。

寝る前に脳を使わない

 自律神経が興奮状態(交感神経優位)にあるならばそれを鎮めなければなりません(副交感神経優位)。

ではどうするか?禁止事項は仕事、考え事、光·音(スマホ)です。

なぜなら自律神経が興奮状態になってしまうからです。

睡眠に問題をかかえている方がおられればぜひ本書をご一読してみてください、きっと役立ちますよ。

トピック裏話

 私自身の睡眠時間がどうかと言うと頑張っても6-6.5時間程度です。

どうしても7-7.5時間睡眠を取ることは難しい。

でもいずれそこに調整したいと考えていますから、今回のトピックで入眠後の90分が大事だということに触れ風呂の入り方を実際やってみました。

 寝室で子供(8歳、6歳)が騒いだり、明かりをなかなか消してくれなかったりでスムーズな入眠はなかなか難しいのですが、確かにやってみると寝起きの状態はスッキリする気がします。

まだ気がする程度しか感じていないので色々体験してまた続報を載せたいと思います。

院長のひとりごと 

 最近大河ドラマ真田丸を一気見しました。

で、このドラマは大変に面白いのですが、なぜそもそも戦国時代が始まったのかというのには色々説があるらしいです。

 氷河期だったかもしれない

 戦国時代~江戸時代末期、実は地球規模では小氷河期(リトルアイスエイジ)に入っていたそうです。

「農業を中心とする第一次産業が主であったこの時代、気候の寒冷化は人々に深刻な 影響を及ぼした。冷夏はコメや野菜の生産に、厳冬はムギの二毛作に影響を与えた。特に、都市や 気温の比較的温暖な地域へは、食うにこと欠いた人々が流入しこのような地域においても食料(食 糧)が不足し、コメの値段などが高沸するほか、治安が悪化したことが考えられる。」(立命館大学、環境史からみた信長の時代IIより)

世界的な寒冷化

 たとえば桶狭間の戦いは6月であったのにひょうが降ったという記録が残っていたり、

  • 同時期にイギリスのテムズ川を大寒波が襲った(1683-1684)という記録が残っていたり
  • 屋久杉の成長具合を見るとその時代の年輪に寒冷の痕跡が発見されたり
  • 「1452年から翌年にかけては、バヌアツ共和国にあるクワエ火山が大噴火を起こし、グリーンランドと南極の氷床では57年ごろまでの層から硫酸エアロゾルが検出されて(読売新聞)」いたり。

  なるほど、領地をめぐる争いは誰が覇権争いで勝利するかが事の始まりではなく、いかに農作物を確保していくか?

  • やむに止まれない状況だからあの戦国の世が引き起こされたのかも知れない徳川家康がその政策として民に倹約を強いたのはそもそも小氷河期で農作物がとれずそうせざるを得なかった状況があったのかもしれない
  • 武士社会のあの厳格な主従関係もこうした自然災害に対しての生き残り戦略によって発展したのかもしれない

そう考えてみると非常に興味深いものがあります。

 この観察する視点を変えると全く異なる世界が見えてくるこのワクワクが私は大好きです。

 今回のトピックでも睡眠はなぜ必要なのか東洋医学の視点から考えてみるといつもとは違った世界が見えてきます。

 東洋的な発想で睡眠を考えると?

 東洋医学には陰陽論と呼ばれる考え方があります。

これはあらゆる万物を陰と陽に分けて理解してみようという考え方です。

陰陽は互いに対立しつつも依存し合う関係にある、という前提で世界をとらえます。

陰陽の調和が取れた状態、物事の始まりのことを「太極」と言いますが、この陰陽の陰は静(動きがない、少ない)、陽は動(動きがある)という性質があります。

 たとえば睡眠にこの陰陽の考え方を当てはめてみると、日中の活動(陽)と睡眠(陰)のバランスが重要性が見えてきます。この陰陽どちらかが過剰または不足すると、バランスが崩れてしまう。

 実は動かずに眠っている状態でも、ノンレム睡眠では眼球運動などの動的な要素(陽)があり、ノンレム睡眠自体が静的な要素(陰)も含んでいます。

ですからここでも陰と陽という要素が睡眠中の状態でもそのバランスを見てとれます。 

 ちなみに太極から陰陽が生じ八卦(はっか)が生じるとしますがこれは易(占い)に応用されていたりします。

 今年の大河ドラマ「光る君へ」に登場する陰陽師、安倍晴明が板切れで占いをするシーンがあるのでぜひ見てみてください。

東洋的な陰陽の話から占いの話になってしまうこの面白さ。このように視点を変えると見える世界がガラリ変わってしまうことがあるかもしれません。