60代男性。首を左右に動かすと痛む、腕もしびれるケースの鍼灸改善例

こんにちは、中山法華経寺すぐそばのあかつき堂鍼灸院の清水です。

今回は2週間前から肩が痛くなり首を左右に向けられないし車の運転が怖いという方が鍼灸治療によって改善したケースです。

問診上、気になったのはデスクワークとゴルフ、それから今までの怪我の経験です。

デスクワークとゴルフの影響と言われると、なんとなくイメージつくけど昔の怪我がなんの関係があるの?と思いますよね。

背骨のダメージ、特に首は全身に影響を与える。

たとえば、交通事故での鞭打ち。

これは首にしなる衝撃を受けるものですが、この影響は首だけでなく思わぬ不調のいわば種。

その怪我が治ったと思ってもその負の種が、すくすくと年齢やストレスを重ねるごとに不調という花を咲かせてしまう、そんなふうに考えています。

たとえば、交通事故後、鞭打ちになって病院なり接骨院なりにかかり治った(とそのときは思っている)としてもその何年後、何十年後かの体に影響を,少しずつ及ぼしていくということです。

交通事故以来、首は治ったはずなのになぜか体調を崩しにくくなったとか、肩が痛い、腕が痺れるなどの経験はないでしょうか?

そんなわけで今回もそれが当てはまるのではないか?

という視点で、お体を触診させていただきました。

お風呂に入るとむしろ痛みが増すなら?

  • 体を温めると痛みが引くのか?
  • 悪化するのか?
  • 変わらないのか?

それを見極めるのにお風呂は確実に参考になります。

今回のケースでは必ず湯船に浸かるということだったのでなおさら「今少なくとも痛い患部を温めると体にとってプラスには働きにくいな、この場合お灸を患部にすべきか否か?」

という判断材料として役に立ちます。

もしあなたもお風呂に入ったあとに痛みが増す感じがあるとしたら、シャワーだけにしみましょう。

少なくともお風呂(浴槽につかる)を無条件に良いと思うのは気をつけた方が良いです。

浴槽に浸かる文化は世界的にみても少数派です。

仰向け時に首を高くしないと肩が痛む

首を高い位置にし、仰向けになってもらい色んな動きをしてもらったところ、膝を立てて右に倒すと首から肩に痛みが響くということがわかったので、それを一つの指標として変化を見ていくことにしました。

圧痛部位で顕著だったのは下腹部(腎)、首、三角筋、背中の脊柱起立筋のつき方の左右差です。

このように触診や目視で観察すると体のバランスの崩れというものが自ずとわかってきます。

痛いところにただお灸する、鍼をする、揉むなどしても根本的な解決になりにくいのはこうした背景があるからです。

つまり痛いところは原因、ではなく、結果であるという視点に立つことが大事なのです。

原因と結果の逆転

ほとんどの人は痛い箇所が原因だと考えています。

それは当たり前と言えば当たり前なのですが少し視点を変えてみましょう。

そもそも痛くなった原因が本当の原因ですよね。

たとえば、肩や首が痛くなったのは仕事の姿勢かも知れないしゴルフのやりすぎかもしれない。

そう考えると原因はその姿勢を取らせている体のバランスの崩れだとも考えられる。

もっと突っ込んで考えてみると体のバランスが崩れたのも結果であり原因ではない、かもしれない。

そのバランスがなぜ取れなくなったのか?それが真の原因のはずです。

なぜって?

それは今まで同じことをしてきても(自覚的には)痛みで辛いということはなかったからです。

それがなんで最近急に痛みがでてきたのでしょうか?

根本は生命力の低下

つまりバランスを崩してしまう体の弱さ、これが原因といえる根本。

それを東洋医学では精気の虚(せいきのきょ)といいます。

より一般的にいえば、自己治癒力(生命力)の低下です。

鍼灸はそれに働きかけるのです。

うまくいけば血流が改善し痛みは改善していきます。

今回のケースでは、1回目で大体6割方痛みが緩和し、首が左右に動かせるようになりました。

問診と触診で一体体がどうなっているか、想像しながら鍼灸していくと上手い具合に改善していくのだというとても貴重な経験でした。